当社グループは、成長戦略の実現とともに、事業内容・規模などに応じた内部統制の仕組みの整備及び適正な運用が重要であると考え、適宜、内部統制システムの見直しを行うとともに、会社法で取締役会決議を義務付けられていないグループ会社においても、内部統制の基本方針を策定・決議し、リスクの発生を防止・低減するための体制整備を行っています。

管理体制

リスク管理・コンプライアンス推進

当社では、リスク発生の予防対策、リスク発生時の報告、発生リスクへの対応の原則、対応策の実施などを骨子とする「リスク管理規程」を制定しています。また、コンプライアンス推進に関しては、当社グループの役員及び社員が当社グループの基本方針、倫理・法令・ルール等に基づき行動するための基本姿勢を「H2Oリテイリンググループ行動規範」として定めるとともに、「グループコンプライアンス規程」を制定し、当社グループのコンプライアンス推進に関する基本方針並びにルールを定めています。

そして、リスクの未然防止と発生時の損失最小化、コンプライアンス体制の構築・整備を推進するためのリスクマネジメント体制を整備していますが、近年の自然災害の増加や新型コロナウイルスをはじめとしたパンデミックの発生、労働関連法規の改正や働き方の変化など、取り巻く環境の変化に柔軟に対応していくため、2020年度にグループ全体のリスクマネジメント体制の見直しを行いました。

コンプライアンス及びリスクマネジメントの責任者を明確化し、リスク情報の一元化を図る体制へと見直し、「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」において、当社グループにおけるリスク情報の収集・対応策の策定を行っていくとともに、当社及び当社グループ各事業に責任者を置き、各事業において、事業の特性に応じたリスク対策を自発的かつ計画的に講じる仕組みの構築を行っています。

また、新型コロナウイルスや地震、ハラスメント対策などを重要な課題として、それらに対応する専門部会を設置するとともに、コンプライアンス推進・リスクマネジメントにかかる人材育成の要素も取り入れた人選を行うことで、さらなる体制の強化にも努めています。

体制図(2023年度)

2022年度の主な取り組み内容

コンプライアンス・リスクマネジメント委員会

  • 公益通報者保護法改正を踏まえた内部通報制度の実務従事者を対象にした研修の実施や、防災・パンデミック対応のための本部体制の整備、セキュリティ事故防止に向けたグループ対応方針や対応策について、グループ各社に周知し、対応の徹底を推進。

公正取引推進部会

  • 関係法令(独禁法、下請法、景品表示法)の運用状況と今後の課題、インボイス制度導入時及びインターネット広告に対する注意事項について共有化。

食品衛生品質管理推進部会

  • グループ品質管理基準の内容を検証・見直しし、周知を徹底。
  • 改善事例・好事例の情報共有により、グループ各社の品質管理
    レベルの向上を推進。
  • 店内厨房設備の衛生状態向上のため、設備点検を実施。

品質管理推進部会

  • グループ共通取り組みとして、広告物等の表示適正化及び商品の外観・縫製の適正化点検を実施。
  • 「薬機法に抵触する恐れのある表示表現対応ガイドライン」を
    作成。

情報セキュリティ部会

  • セキュリティ事故発生状況の共有化及びグループ全体のセキュリティ事故対応体制の整備を推進。
  • 海外個人情報保護法対応に伴う、グループ共通の個人情報管理規程及び情報セキュリティガイドライン改定。
  • 階層別セキュリティ教育の実施。

防災・パンデミック部会

  • グループ防災力(初動対応)の整備・強化。
  • グループ全社で本部体制表と初期対応フローチャートを作成。
  • 安否確認システムの導入促進・登録者拡大を実施。

労働環境・人権部会

  • グループ共通課題であるハラスメント対策として、継続してグループ各社で研修等を実施。
  • グループ人権方針を宣言し、CSR調達方針を制定。
  • 今後の「人権デュー・デリジェンス」推進のためロードマップを作成。

災害時の対策

当社グループでは、百貨店や食品スーパー、総合スーパーをはじめ不特定多数のお客様が来店される商業施設を多数運営していることから、地震をはじめとした自然災害発生に対する取り組みを重視しています。特に災害時に、従業員ひとりひとりが自立的に動けることを目指し、様々な取り組みを行っています。また、当社及び主要な子会社では、従業員の安否確認のための安否確認システムや本部間連絡用にIP無線電話、LINE WORKS、Web掲示板を導入し、災害発生時の迅速な安否確認と情報連絡が可能な体制を取っています。2018年の大阪北部地震など、近年相次ぐ多くの自然災害への対応の反省から、災害発生時の初動対応マニュアルの見直しに着手し、速やかに事業を継続・復旧できる体制づくりを進めています。

阪急阪神百貨店

防災訓練

誰もが指揮者になり、また、他の者の役割も担えるように、各店舗ではテーマ(緊急地震速報訓練、消防避難誘導訓練等)を定めた防災訓練を実施しています。南海トラフ地震を想定した津波避難訓練も取り入れており、特にお客様の来店が多い阪急・阪神両本店では「南海トラフ地震対応行動マニュアル」「帰宅困難者対応マニュアル」を策定。また、全社員に携帯用の「災害時対応ポケットマニュアル」を配布し、社内ポータルサイトにも掲載することで、防災意識の向上に取り組んでいます。また、普通救命士育成の講習会や応急手当講習会なども開催し、1,500名を超えるスタッフが受講しています。

多様なお客様・従業員への対応

外国人観光客の多い都心店舗においては、緊急地震速報や避難誘導の多言語化を実施しています。また、全店舗で帰宅困難者対策としての災害備蓄品を拡充し、災害発生時の対策を強化しています。

関西スーパー・イズミヤ・阪急オアシス

各店において消防訓練や地震訓練を定期的に実施し、災害時における物資や避難場所等の提供に関して、出店地域の自治体と災害支援協定を締結しています。

 

関西スーパー

  • 11自治体:(大阪府、豊中市、箕面市、八尾市、河内長野市、高石市、富田林市、大阪市住之江区、西宮市、神戸市、伊丹市

 

イズミヤ・阪急オアシス

  • 18自治体:(大阪府、京都府、奈良県、大阪市、豊中市、箕面市、八尾市、河内長野市、松原市、泉大津市、豊能町、神戸市、伊丹市、西宮市、川西市、長岡京市、和歌山市、広陵町)

 

公正取引確保のための取り組み

グループ公正取引推進委員会を設置し、独占禁止法並びに関係法令に関する違法行為の未然防止を目的とし、グループ内での情報共有や是正指導を行っています。2018年10月に、当社子会社である阪急阪神百貨店では、顧客から収受する優待ギフト送料の値上げに関して、独占禁止法違反により、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。当該命令について重く受け止め、阪急阪神百貨店では、カルテル防止ガイドラインの策定、役員・従業員を対象にした研修の実施など再発防止策を行うとともに、監査体制の一層の強化を図り、再発防止を徹底しています。また、グループコンプライアンス連絡会の開催や「H2Oリテイリンググループ行動規範」の改訂を実施するなどにより、他のグループ会社に対し公正取引の推進を再徹底しています。

内部通報制度・ハラスメント防止対策

当社グループで働く従業員(お取引先スタッフも含む)からの内部通報を受け付ける仕組みとして、「H2Oリテイリンググループ コンプライアンスホットライン」の窓口を当社及び社外の弁護士事務所に設置しています。中核会社である阪急阪神百貨店や食品スーパーの他、一部のグループ会社にも内部通報を受け付ける窓口を設けることにより、複数の通報ルートを確保しています。

   また、通報者のプライバシー保護を講じたうえで、コンプライアンスホットラインの通報の状況に関して、代表取締役及び常勤監査等委員及び取締役会に定期的に報告を行っています。
2021年度も引き続きハラスメントの防止対策を強化し、モラルハラスメントなど時代の変化に即した事例や対応について共有化を図るとともに、阪急阪神百貨店をはじめグループ各社においても、各社の状況や階層に応じた研修を複数回実施するなどして、グループ全体でハラスメント防止に向けた取り組みを行っています。

反社会的勢力排除に向けた取り組み

「H2Oリテイリンググループ行動規範」において、反社会的な組織、団体、個人などからの不当な要求には一切応じないことを規定しています。グループ各社が締結する契約書においては、反社会的勢力の排除条項の挿入を徹底しており、また、阪急阪神百貨店では、中元・歳暮期の贈答に取引がないか全リストのチェックを行うなど、反社会的勢力の排除に向けた取り組みを行っています。

情報管理

当社ではプライバシーポリシーの制定に加え、グループ全体の個人情報をはじめとした企業情報の適正管理とセキュリティ向上を目的とした「情報セキュリティ部会」を設置しています。特に個人情報に関しては、2022年4月の改正個人情報保護法施行に伴い、改めてグループの全体方針を定め、規程・ルールの見直しや従業員教育の実施などの対応を行っております。
 また、昨今の情報発信増加に伴うリスク防止のため、ソーシャルメディアポリシーの内容の見直しの実施や情報セキュリティガイドラインの整備を行うなど、取り巻く環境の変化に応じて適宜見直しを行っています。