当社グループは、成長戦略の実現とともに、事業内容・規模などに応じた内部統制の仕組みの整備及び適正な運用が重要であると考え、適宜、内部統制システムの見直しを行うとともに、会社法で取締役会決議を義務付けられていないグループ会社においても、内部統制の基本方針を策定・決議し、リスクの発生を防止・低減するための体制整備を行っています。

管理体制

リスク管理・コンプライアンス推進

当社では、リスク発生の予防対策、リスク発生時の報告、発生リスクへの対応の原則、対応策の実施などを骨子とする「リスク管理規程」を制定しています。また、コンプライアンス推進に関しては、当社グループの役員及び従業員が当社グループの基本方針、倫理・法令・ルール等に基づき行動するための基本姿勢を「H2Oリテイリンググループ行動規範」として定めるとともに、「グループコンプライアンス規程」を制定し、当社グループのコンプライアンス推進に関する基本方針並びにルールを定めています。
そして、リスクの未然防止と発生時の損失最小化、コンプライアンス体制の構築・整備を推進するためのリスクマネジメント体制を整備し、「コンプライアンス・リスクマネジメント委員会」において、当社グループにおけるリスク情報の収集・対応策の策定を行っていくとともに、当社及び当社グループ各事業に責任者を置き、各事業において、事業の特性に応じたリスク対策を自発的かつ計画的に講じる仕組みの構築を行っています。
また、専門部会である公正取引、品質管理、情報セキュリティ、防災・パンデミック、労働環境・人権等の各部会におけるグループ重点リスクに対する取り組み内容と今後の課題について、同委員会において、情報の共有化と対応策について検討を行うとともに、当社グループにおけるコンプライアンス推進とリスクの未然防止を図るため、グループ各社のコンプライアンス担当者を対象に「コンプライアンス連絡会」を随時開催しています。2023年度は、ハラスメント対策として役員・グループ会社社長を対象としたハラスメント研修の実施や、関係法令の改正、セキュリティ事故防止に向けたグループ対応方針や対応策等について、グループ各社に周知し、対応の徹底を推進しました。

体制図(2023年度)

2023年度の主な取り組み内容

コンプライアンス・リスクマネジメント委員会

  • ハラスメント対策として、役員・グループ会社社長を対象としたハラスメント研修の実施や、関係法令の改正、セキュリティ事故防止に向けたグループ対応方針や対応策等について、グループ各社に周知し、対応の徹底を推進。

公正取引推進部会

  • 景品表示法(アフィリエイト広告、ステマ広告)、インボイス制度に関するルールの周知、及びフリーランス取引適正化法について周知。

食品衛生品質管理推進部会

  • グループ品質管理基準の内容の検証、見直しの実施及び基準の策定と周知徹底。
  • 表示の適正化推進に向け、各社の情報を共有し、グループ各社の品質管理レベルの向上を推進。

品質管理推進部会

  • グループ共通取り組みとして、広告物等の表示表現適正化及び商品の外観・縫製の適正化点検を実施。
  • 動画教育ツールの共有及び研修による現場従業員への品質管理教育を実施。

情報セキュリティ部会

  • セキュリティ事故発生状況の共有化及びグループ全体のセキュリティ対策定着化の推進。
  • 生成AI活用時の注意点の動画作成と周知。
  • ポータルサイトにセキュリティ事故通報窓口を掲載し、有事対応時の迅速化を推進。

防災・パンデミック部会

  • 安否確認システムの導入促進により、登録会社・登録者拡大。
  • 商業施設事業3社のBCP(事業継続計画)策定推進。
  • 重点テーマ「地震」の情報収集・対策の立案。津波避難者受け入れ対応の見直し及び訓練の実施促進。

労働環境・人権部会

  • 「人権デュー・デリジェンス」において、労働環境に関する事項についてグループ各社にアンケートを実施し、課題リストおよびリスクマップを作成。

災害時の対策

当社グループでは、百貨店や食品スーパーなど不特定多数のお客さまが来店される商業施設を多数運営していることから、地震をはじめとした自然災害の発生に対する取り組みを重視しています。特に災害時に、従業員一人ひとりが自律的に動けることを目指し、災害発生時の初動対応マニュアルの見直しに着手し、速やかに事業を継続・復旧できる体制づくりを進めています。
また、当社および主要な子会社では、従業員の安否確認のための安否確認システムや緊急連絡用の通信手段を整備するなど、災害発生時の迅速な安否確認と情報連絡が可能な体制をとっています。さらに、百貨店では、地震のほかマルチハザードを想定したBCP(事業継続計画)を策定しています。現在、食品事業、商業施設事業でもその取り組みを進めています。

阪急阪神百貨店

防災訓練

誰もが指揮者になり、また、ほかの者の役割も担えるように、各店舗で防災訓練を実施しています。南海トラフ地震を想定した津波避難訓練も取り入れており、特にお客さまの来店が多い阪急・阪神両本店では「南海トラフ地震対応行動マニュアル」「帰宅困難者対応マニュアル」を策定。また、全従業員への「災害時対応ポケットマニュアル」の配付や社内ポータルサイトへの掲載などにより、防災意識の向上に取り組んでいます。

多様なお客様・従業員への対応

外国人観光客の多い都心店舗においては、緊急地震速報や避難誘導の多言語化を実施しています。また、全店舗で帰宅困難者対策としての災害備蓄品を拡充し、災害発生時の対策を強化しています。

イズミヤ・阪急オアシス・関西スーパー

各店において消防訓練や地震訓練を定期的に実施し、災害時における物資や避難場所等の提供に関して、出店地域の自治体と災害支援協定を締結しています。

イズミヤ・阪急オアシス

  • 18自治体:(大阪府、京都府、奈良県、大阪市、豊中市、箕面市、八尾市、河内長野市、松原市、泉大津市、豊能町、神戸市、伊丹市、西宮市、川西市、京都市、長岡京市、広陵町)

 

関西スーパー

  • 11自治体:(大阪府、豊中市、箕面市、八尾市、河内長野市、高石市、富田林市、大阪市住之江区、西宮市、神戸市、伊丹市)

 

公正取引確保のための取り組み

グループ公正取引推進委員会を設置し、独占禁止法並びに関係法令に関する違法行為の未然防止を目的とし、グループ内での情報共有や是正指導を行っています。2018年10月に、当社子会社である阪急阪神百貨店では、顧客から収受する優待ギフト送料の値上げに関して、独占禁止法違反により、公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。当該命令について重く受け止め、阪急阪神百貨店では、カルテル防止ガイドラインの策定、役員・従業員を対象にした研修の実施など再発防止策を行うとともに、監査体制の一層の強化を図り、再発防止を徹底しています。また、グループコンプライアンス連絡会の開催や「H2Oリテイリンググループ行動規範」の改訂を実施するなどにより、他のグループ会社に対し公正取引の推進を再徹底しています。

内部通報制度・ハラスメント防止対策

内部通報制度「H2Oリテイリンググループ コンプライアンスホットライン」の通報窓口を当社および社外の弁護士事務所に設置するとともに、中核会社をはじめ一部のグループ会社にも通報窓口を設置しています。通報窓口の整備・拡大を図るとともに、ポスターや社内ポータルサイトを活用し、内部通報窓口の周知・徹底を行っています。また、通報内容については、代表取締役および常勤監査等委員に定期的に報告しています。

2023年度も引き続きハラスメントの防止対策を強化しており、役員・グループ会社社長を対象としたハラスメント研修の実施など、グループ全体でハラスメント防止に向けた取り組みを行っています。

反社会的勢力排除に向けた取り組み

「H2Oリテイリンググループ行動規範」において、反社会的な組織、団体、個人などからの不当な要求には一切応じないことを規定しています。グループ各社が締結する契約書においては、反社会的勢力の排除条項の挿入を徹底しており、また、阪急阪神百貨店では、中元・歳暮期の贈答に取引がないか全リストのチェックを行うなど、反社会的勢力の排除に向けた取り組みを行っています。

情報管理

顧客情報をはじめ営業、店舗、人事、財務などの各種情報の適正な運用・管理のため、各種規程を整備しているほか、リスクマネジメントにおける重点取り組み課題の一つとして情報セキュリティを掲げ、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の専門部会として情報セキュリティ部会を設置し、セキュリティ事故の未然防止と発生した場合の損失の最小化に取り組んでいます。

個人情報管理

個人情報の利用などに関して遵守すべき基本姿勢として、国内外の法令に対応した「プライバシーポリシー」を制定するとともに、プライバシーの侵害防止や個人情報の主体となる本人の権利および利益の保護を図ることを目的とした個人情報管理規程やガイドライン等の各種規程を整備し、周知徹底を図っています。

情報セキュリティ

セキュリティロードマップ(〜2026年度)に基づき、包括的なセキュリティ体制の構築を進めています。2023年度は、ウェブサイト/アプリの脆弱性診断を実施し、緊急性の高い脆弱性の改修を進めました。また、従業員向け情報セキュリティ研修の実施や、外部公開資産のリスク評価など、セキュリティ事故の予防に向けた取り組みを推進しています。これらの施策を通じて、グループ全体のセキュリティレベルの向上に努めています。