中期計画「GP10-Ⅱ フェーズ2 (2019-2021年度)」について

 

中期計画「GP10-Ⅱ フェーズ2」を策定しましたので、以下のとおりお知らせいたします。

 

1. 長期事業計画「GP10」の概要

 

少子高齢化や人口減少などの構造的変化により、日本の小売マーケットの縮小は避けられない状況にあります。マーケット縮小下では、競争力のない事業者は存続できず、寡占化が進んでいくと想定されます。この認
識に立ち、当社は、マーケットシェアを持続的に拡大するため、長期的な視点に基づいた事業構想「GP10計画」を策定し、取り組みを進めております。

 

2005年度から2014年度までの「GP10計画 ステージⅠ」では、「百貨店事業の強化」として当社グループのフラッグシップ店舗である阪急うめだ本店の建て替えや、支店のスクラップアンドビルドに着手し、百貨店事業の確立に注力いたしました。


2015年度から開始した「GP10計画 ステージⅡ」では、「関西ドミナント化戦略」として、顧客の日常生活から非日常生活まで対応する店舗ネットワークを構築し、関西圏顧客との接点を増やすことにより、マーケットシェアの拡大を図っております。

 

2.前中期計画「GP10-Ⅱ フェーズ1」の取り組みと結果


2015年度から2018年度までの中期計画「GP10-Ⅱ フェーズ1」では、阪急うめだ本店の広域集客力の強化および阪神梅田本店建て替え、「そごう神戸店」および「西武高槻店」の承継、食品事業の構築に向けたイズミヤの店舗再編、グループの電子マネー「litta」や関西エリア共通ポイント「Sポイント」の立ち上げを行ってまいりました。

 

百貨店事業においては、2012年の建て替えオープン以来、広域からの集客力の高まった阪急本店の売上高が高伸しました。マーケットの縮小が続く百貨店業界において、阪急本店の売上高は2013年度の1,922億円から2018年度に2,507億円へと拡大し、着実なマーケットシェア拡大を実現しております。また、阪神梅田本店は、2018年開業の建て替え第Ⅰ期棟において、売り場面積が開業前から約2割減少することから、売上が大きく落ち込むことを想定しておりましたが、食品を中心に想定以上の集客があり、利益への影響を小さく留めることができました。これらの結果、百貨店事業の営業利益は中期計画策定時の見込みを上回りました。

 

しかし、食品事業において、営業利益目標に対して大幅な未達となりました。イズミヤは、既存店の改装と、GMS(総合スーパー)の建て替えによるNSC(近隣商圏対応型ショッピングセンター)転換を行いましたが、GMS既存店が専門店業態との競合に対応できず、広域からの集客力が低下したため、売上高が計画から乖離いたしました。また、新店出店を中心とした成長を計画していた阪急オアシスにおいても、出店コストやオペレーションコストの上昇が利益を圧迫する要因となりました。さらに、食品製造各社においても、その影響を受け、業績は想定を下回りました。

 

以上の結果、連結合計の営業利益は中期計画策定時の計画値を下回る結果となりました。

 

3. 「GP10-Ⅱ フェーズ2」における重点施策


今年度からの中期計画「GP10-Ⅱ フェーズ2」においては、「関西ドミナント化戦略」をより一層推し進めるべく、コア事業における圧倒的なポジションの確立とアライアンスネットワークの拡大による、関西圏顧客の生活全般に関わりを持つビジネスエコシステムの構築に取り組んでまいります。

 

当社は、「都市大型商業」と「食品事業」を自社が継続的に強化すべきコア事業と位置づけ、都市大型商業は、百貨店を中心に、非日常性やショッピング体験の楽しさを追求しております。食品事業は、購買頻度の高い食品を扱うSM(食品スーパー)の展開により、最寄り店舗でのワンストップショッピングという利便性を追求しております。どちらもリアル店舗ならではの価値提供ができ、今後も必要とされ続ける業態であることから、当社はこの2つのコア事業の強化を図ってまいります。
当社のコア事業は非日常と日常の両極にありますが、その間に位置する小売業態においても顧客の生活と接点を持つために、外部パートナーとのアライアンスを活用してまいります。関西エリアの共通ポイントである「Sポイント」を軸に、各小売業態で確固たる地位を築いている外部パートナーとの取り組みを進め、顧客との関係性をより強固なものにしてまいります。小売のアライアンスネットワークに加えて、生活サービスの事業者へもアライアンスを広げ、関西商圏における当社関与売上高のシェア拡大を図っております。

 

重点施策Ⅰ「都市大型商業の強化」

 阪神梅田本店建て替え工事、神戸阪急および高槻阪急の立ち上げ、千里中央エリアにおける大型再開発に取り組んでまいります。

 

当社のコア事業である都市大型商業は、非日常性やショッピング体験の楽しさを提供することで広域から集客する業態です。この業態は、人口分布、鉄道網、道路網などの条件が整った、広域から人々が集まるような拠点都市において成立し、関西商圏の主要な拠点都市である大阪・梅田エリアおよび北摂・阪神間の4ヶ所(大阪・千里中央エリア、兵庫・西宮北口エリア、兵庫・神戸三宮エリア、大阪・高槻エリア)において、百貨店を展開しております。これらの都市は、地理的・歴史的背景を基に成立してきたものであり、今後も関西商圏において重要な役割を持ち続けるため、店舗への投資を継続的に行い、顧客の支持拡大に向けて着実に取り組んでまいります。

 

関西最大の商業拠点である大阪・梅田エリアでは、阪急本店および阪神梅田本店の両本店を展開しております。梅田エリアの強化に向けた、阪神梅田本店の建て替えについては、当初計画通り、2018年6月に建て替え第Ⅰ期棟が開業し、今後は、2021年秋のグランドオープンに向けて、工事を進めてまいります。開業初年度にあたる2021年度は費用が先行するため、2022年度以降の利益貢献を見込んでおります。

 

梅田エリアに次ぐ広域集客の拠点都市である神戸三宮エリアと高槻エリアでは、2017年10月にそごう神戸店および西武高槻店を承継いたしました。2019年10月にこの2店舗の屋号を「神戸阪急」「高槻阪急」へと変更し、阪急阪神百貨店の支店としてスタートいたします。2店舗とも駅前立地である特性を踏まえ、集客力強化の効果が高い地下食品フロアの改装からはじめ、順次、上層階の改装を行ってまいります。統合に伴う費用の発生や店舗のリニューアルなどによる一時的な減益が想定されますが、この2店舗の顧客基盤と立地の強みを活かし、着実な立ち上げを図ってまいります。

 

また、千里中央エリアにおいて大型の再開発に取り組んでまいります。1970年に完成した千里ニュータウンは、再活性化が奏功し、人口流入や街の若返りにつながっております。その千里ニュータウンの中心地である千里中央エリアに位置する千里阪急は、隣接する商業施設・セルシーとの一体再開発に取り組み、百貨店を核テナントとするRSC(広域対応型ショッピングセンター)の数年後の開業に向けて検討を進めてまいります。

 

重点施策Ⅱ「SM運営プラットフォーム構築」
 SM運営に適した共通プラットフォームにより、運営体制の効率化を図ってまいります。

 

当社のもう1つのコア事業である食品事業は、イズミヤと阪急オアシスなどのSM各社および食品製造会社により構成されております。2014年のイズミヤとの経営統合により、阪急オアシスと合わせて約200店舗を展開する、関西有数の食品取扱高を有するグループとなりました。統合効果の実現に向けて、イズミヤと阪急オアシスの共同仕入れ、プロセスセンターや惣菜製造会社の統合などに取り組んでまいりましたが、両社の商品管理やオペレーションが異なっており、そのスケールメリットを十分に引き出しきれておりませんでした。

 

この度、イズミヤを再編し、SM運営に特化した会社を分割いたします。これに合わせて、新分割会社と阪急オアシスは、2020年度に新たな営業システムを稼働し、商品管理やオペレーションを統合いたします。SM運営のプラットフォーム共通化により、商品の共同調達や、物流センターの運営効率化、立地に合わせた柔軟な店舗展開などを行ってまいります。

 

重点施策Ⅲ「イズミヤGMSの事業モデル転換」
 イズミヤの事業再編によりGMSの事業モデルからの転換を図り、マーケットのニーズに応じた商業施設の運営を行ってまいります。

 

「GP10-II フェーズ1」においては、イズミヤのGMSを中心とした店舗再編に取り組んでまいりました。ドミナントエリア以外の店舗の閉鎖、老朽化店舗の建て替えによるNSC転換などを行い、経営統合時に47店舗あったGMSは32店舗にまで縮小いたしました。しかし、既存のGMSにおいては、衣料品や住居関連品が専門店業態との競合に対応できず、食品の改装や、非食品の直営面積の縮小、展開商品の絞り込み、一部テナントの導入を行ってきたものの、衣食住すべての直営を基本とするGMSの事業モデルの集客力が低下しており、好立地にある強みを活かしきれておりません。

 

さらに、現在の商業施設運営においては、嗜好の多様化や人口構成の変化などから、物販のみでなくサービス施設を含めた多様なコンテンツをマーケットに合わせて柔軟に組み上げていくことが欠かせない状況になっております。

 

これらの課題への取り組みを本格化するため、2020年度にイズミヤ株式会社を食品部門、非食品部門およびプロパティマネジメント部門に分割し、GMSの事業モデル転換を図ってまいります。食品部門は、分割によりSM運営に特化し、阪急オアシスと一体となって効率性を高め、コア事業として、さらなる収益性向上を図ってまいります。住居関連品の中でも購買頻度の高い日用品は、株式会社ココカラファインと合弁会社を立ち上げ、同社のドラッグストア運営ノウハウや商品調達力の下、新たな店舗に作り変えてまいります。プロパティマネジメント部門は、非食品部門の構造的赤字の早期解消と、マーケットに合わせたテナント導入を進め、好立地の強みを活かした集客力のある商業施設づくりを行ってまいります。

 

重点施策Ⅳ 「ビジネスエコシステムの構築」
 外部パートナーとのアライアンスネットワークを拡大するとともに、関西圏事業者で共有できる顧客サービスプラットフォームを築いてまいります。

 

日々の暮らしの中で、生活者は、百貨店やSMだけでなく、様々な小売業態・サービス業態を使い分けます。
こうしたコア事業以外の分野においても、顧客の生活と接点を持つために、外部パートナーとのアライアンスを活用してまいります。

 

2016年に阪急阪神グループの共通ポイントサービスとしてスタートした「Sポイント」は、現在約750万会員、関西2府4県のセブン-イレブンおよび関西スーパーといった外部加盟店が加わったこともあり、関西エリアの共通ポイントとして取扱高がさらに拡大しております。

 

今回、新たな拠点となる神戸阪急、高槻阪急の顧客を対象に、Sポイント対象カードへの入会を促進してまいります。また、新たなパートナーであるSRSホールディングス株式会社および株式会社ココカラファインの各社店舗でのSポイントサービス開始に向けて準備を進めてまいります。会員数の拡大と加盟店の増加により、利便性の高いポイントサービスとして確立してまいります。さらに、ポイントインセンティブのみでなく、決済や当社とアライアンスパートナーの経営資源を活用した新たな顧客サービスの開発などにより、関西圏の事業者で共有できる顧客サービスプラットフォームを築き、顧客と事業者の双方にとって魅力のあるビジネスエコシステムの構築を図ってまいります。

 

4.資本効率への考え方

 

当社は、マーケット縮小、寡占化が進行していく日本の小売業界において、関西トップシェア企業グループを目指して、顧客との強固な関係づくりを行っております。関西顧客の生活全般に関わりを持つビジネスエコシステムは一朝一夕に構築しうるものではなく、これまで同様、着実に取り組みを積み重ねていくことにより、模倣困難なシステムとして当社の競争優位性を高めてまいります。今後、事業再編や再開発、事業統合などに伴い、利益成長に先行して資産が増加することで、一時的に効率性が低下することも想定されますが、これらの取り組みにより利益水準を上げ、効率性の持続的向上を図ってまいります。さらに、利益水準に見合った株主還元の実施等により、ROEを意識した経営を行ってまいります。

 

5.ESG課題への取り組み

 

当社は、「地域住民への生活モデルの提供を通して、地域社会になくてはならない存在であり続けること」を基本理念としております。この基本理念実現に向けて、顧客および株主をはじめ、取引先、従業員、地域社会といった様々なステークホルダーの期待に応え、信頼関係を築き上げることが不可欠であると考え、継続的に取り組みを行ってまいりました。

 

ステークホルダーとの信頼関係構築のための、「環境」「社会」「ガバナンス」それぞれの取り組みの中で、特に「社会」の側面における「安全・安心への取り組み」と「人材育成」に重点を置いております。食料品から衣料品・雑貨まであらゆる商品を提供する当社では、顧客の安心な買い物の実現のための品質管理の徹底に努めております。また、顧客の買い物体験の満足度向上につながる高いクオリティのサービスを提供するための人材育成においては、多様な働き方を実現する手段の一つとして、事業所内保育施設「H2Oほいくえん」の展開を拡大してまいります。

 

また、阪急本店をはじめとする大型商業施設ならではの集客力やメディア性を活かした取り組みの一つとして、チャリティネットワークを広げるための活動である「H2Oサンタ」の活動に2012年より取り組んでおります。
地域社会にチャリティ文化を創造するために、今後も継続的に活動を進めてまいります。


今後、これらの取り組みをステークホルダーの皆様との対話を通じて、より一層進めてまいります。当社のESG活動に対する考え方や具体的な取り組み内容は2018年度より発行しております統合レポートにて、今後発信してまいります。

 

6.計画骨子及び業績予想

 

中期計画 『GP10-Ⅱ フェーズ2(2019-2021年度)』
・重点施策

  1. 「都市大型商業の強化」
  2. 「SM運営プラットフォームの構築」
  3. 「イズミヤGMSの事業モデル転換」
  4. 「ビジネスエコシステムの構築」

・2021年度連結営業利益予想 250億円
・設備投資計画(2019-2021年度) 総額950億円

・2021年度連結業績予想

2018 年度実績 2021 年度予想 増減
売上高 9,268 億円 9,600 億円 +331 億円
営業利益 204 億円 250 億円 +45 億円
経常利益 213 億円 250 億円 +36 億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
21 億円 125 億円 +103 億円

・2021年度セグメント別営業利益予想

2018 年度実績 2021 年度予想 増減
百貨店事業 178 億円 165 億円 ▲ 13 億円
食品事業 ▲ 4 億円 50 億円 +54 億円
不動産事業 42 億円 40 億円 ▲ 2 億円
その他事業 50 億円 60 億円 +9 億円
消去 ▲ 63 億円 ▲ 65 億円 ▲ 1 億円
連結営業利益 合計 204 億円 250 億円 +45 億円

2019-2021年度の営業利益増減要因

以上