デイリーカナートイズミヤ玉造店の若林亮司店長(左)とエイチ・ツー・オー 食品グループ サステナビリティ推進部の井上薫さん
2021年5月3日に創業100周年を迎えたイズミヤは「次の100年も地域で愛される店」を目指し、「地域活性化」「子ども」「環境」をテーマにした地域貢献活動に取り組んでいます。その一つとして、デイリーカナートイズミヤ玉造店(以下、玉造店)は「地域と一緒に花壇づくり」を行っています。地域の方とともに花壇づくりに携わった担当者の声をお届けします。
(編集部)
イズミヤでは2020年秋、創業100周年を機に「地域と一緒にやっていこうプロジェクト」が発足し、メンバーが中心となって地域貢献活動を進めてきました。第一弾は、デイリーカナートイズミヤ天下茶屋店が、地域の子育て応援ネットワークと協業し、実施した花壇づくりです。それに触発され、アクションを起こしたのが玉造店でした。プロジェクトメンバーだった井上薫さん(現エイチ・ツー・オー 食品グループ サステナビリティ推進部)、玉造店の若林亮司店長に聞きました。
――地域との取り組みは、今回が初めてですか?
井上さん:イズミヤは1998年からマイバッグ持参運動・キャンペーンを展開するなど、以前から環境負荷の低減や、お客様との協働に取り組んできました。100周年をきっかけに、さらに広がりを見せています。
イズミヤスーパーセンター福町店やデイリーカナートイズミヤ天六樋之口店では、大阪市や他の事業者と連携して「みんなでつなげるペットボトル循環プロジェクト」に参画中です。これは、分別の徹底により質の高いペットボトルを回収し、ボトルからボトルを作るなどプラスチックの資源循環を図るものです。また、コロナ禍による中断もありましたが、地域の子どもたちに食品スーパーの仕事や環境問題について楽しく学んでいただく「環境エコ&見学会」といった環境啓発イベントも再開しています。
「環境エコ&見学会」で子どもたちに説明する井上さん
――花壇づくりはどなたのアイデアですか?
若林さん:当時私は副店長でしたが、前任の店長(現デイリーカナートイズミヤ洛北阪急スクエア店 永原大店長)のアイデアでした。天下茶屋店の先行事例を見て、「うちの店でも何かやってみよう」と考えたそうです。玉造店の駐車場入り口の脇には、長らく手つかずで、雑草が生い茂る区画があったのです。この区画を活用して何か地域のためにできないか、検討していました。
花壇づくりを行う様子
――どんな方法で取り組んだのですか?
若林さん:大阪市建設局公園緑化部の「地域の花壇づくり支援」を知り、応募しました。地域のオープンスペースを、明るく活気あるまちづくりに活用したいと考える住民団体やグループに対し、市が花壇づくりの技術の習得を支援する取り組みです。希望者は、場所と必要な道具・資材を用意するだけ。実際に作業を体験しながら、講習会形式でアドバイスを受けられます。
ーー花壇づくりに参加したメンバーは、店の従業員ですか?
若林さん:店の従業員に計画を話したところ、パートナー社員の西村敦子さんが、花壇づくりに協力してくださる仲間を紹介してくれました。西村さんのお友だちの皆さんは日ごろから近隣のボランティア活動に熱心で、地域で高齢者を見守り交流を図るふれあい喫茶などの運営にも携わる、心強い味方でした。
ボランティアの方からアドバイスを受ける西村さん(右)
――花壇づくりは順調でしたか?
若林さん:いえ。好事魔多しでした。花盛りの春に向けて準備を進めるつもりだった矢先の2021年1月13日、新型コロナウイルス感染症対応で大阪府に2度目の緊急事態宣言が発出され、人が集まる行事はしばらく自粛せざるを得ませんでした。その後もまん延防止等重点措置や再度の宣言が相次ぎ、ようやく計画が再始動したのは秋、10月に入ってからでした。
――具体的な取り組み内容を教えてください
若林さん:花壇づくりは、10月12日から3回に分けて行いました。初日は、草を抜いたり、石などの障害物を取り除いたりと、地道ですが大切な作業です。草は抜いても、抜いても生えてくるので、油断は禁物、文字通り根こそぎ引っこ抜きます。スコップで掘り起こし、土のかたまりを砕いて、ふかふかにしていきました。
スコップで土を掘り起こす若林店長
井上さん:見違えるような更地(さらち)になった段階でいったん土地を寝かせました。作業の続きは、2週間後の10月26日に行いました。完成予想図に従い、レンガの組み立てです。
当時の完成予想図
若林さん:1990年に大阪・鶴見緑地で開催した「国際花と緑の博覧会」や、大阪市立長居植物園の花壇づくりも手がけた公園緑化部のベテランスタッフにアドバイスをいただき、花壇の立地やサイズ、日当たり、予算などにも配慮したデザインが完成しました。レンガでかたどり、バークチップと呼ばれる園芸用の土や砂利を敷き詰める作業を行いました。
井上さん:レンガを埋め込む際、地面に水平に、かつグラつかないように、細心の注意を払いました。この日は花の生育を促す培養土をまいて終わりました。
園芸用の土やチップを敷き詰めるプロジェクトメンバーやボランティアの方々
――どんな花を植えたのですか?
若林さん:最終日の11月2日に花の苗を植えつけました。寒くなるこの時期から春先まで長く花が楽しめるシクラメンや、冬のガーデニングの定番・白い花が可憐なノースポール、色とりどりのパンジーなどを準備しました。
井上さん:ご自宅でもガーデニングを楽しんでいるというボランティアの皆さん、やはり手慣れていらっしゃいました。おかげで見事な花壇が完成しました!!
2021年11月に完成した花壇
――お客様の反応はいかがですか?
若林さん:お客様からは「とてもきれいになったね」といったお言葉を頂戴しました。また従業員からも「帰る時につい見入ってしまう」という声があがっています。
ーー他店でも、地域貢献活動は広がっていますか?
井上さん:各店舗では、2022年度上半期に延べ2400名の小学生・中学生を社会見学や職場体験として受け入れています。またお取引先様との共同環境イベントも行いました。これからも、地域になくてはならない愛されるお店を目指していきます。
若林さん:玉造店では2022年は5月と11月に植え替えを行いました。花壇は、地域の方々にとって季節や癒しを感じ、なごんでいただける場となりつつあります。2023年、春の日差しが心地よい季節になったら、また別の表情を見せてくれる予定の花壇が楽しみです。
2022年11月、ハボタンなどに植え替えて違った表情に