(左から)商品本部 食品MD部 渡邉明美さん、中澤有希さん
阪急キッチンエール関西は、2002年に設立したエイチ・ツー・オー リテイリンググループのネットスーパーです。阪急・阪神百貨店のデパ地下スイーツから、イズミヤ・阪急オアシスと連携した毎日の食料品や日用雑貨まで、約3000種類以上の商品をご用意しています。会員数は、電子カタログで注文する宅配手数料無料のネット会員と紙のカタログをお届けする会員を合わせて約5万人、年間100万件以上のご注文を承っています。前日の深夜12時までに注文すると、翌日の遅くても夕方5時までに配達する「翌配」が特長です。中でも設立当初から人気の「お料理キット」を手掛ける担当者の声をお届けします。
(編集部)
あらかじめカットした食材と調味料が一緒になった「お料理キット」は、素早く簡単に調理でき、共働きや子育て中のご家庭などお忙しい方に大変便利です。2023年10月にメニューをリニューアルしました。そのポイントやメニュー開発の裏話、今後の取り組みなどについて商品本部食品MD部の中澤有希さんと 渡邉明美さんに話を聞きました。
「阪急キッチンエール関西」ホームページのトップ画面
――まず、お二人のご担当を教えてください
中澤さん:商品の方向性やターゲットの設定、新規会員獲得に向けた施策の立案などを担当しています。
渡邉さん:5年前から「お料理キット」の運営全般に携わり、現在はメニュー開発を担当しています。
――なんと20年以上前から続く人気商品なんですね
中澤さん:はい、今では当たり前の個別宅配も当時はまだ珍しく、その中で便利な「お料理キット」をいち早く提供してきました。
――「お料理キット」のターゲットとコンセプトは?
中澤さん:30~40代の子育て真っ最中の共働きママさんをターゲットにしています。“頑張りすぎないおうちごはん” として、「毎日頑張らなくていい。週に1、2回はお手伝いしますよ」とのエールを込めています。私も渡邉も子育てをしながら仕事を続けてきたので、家事も仕事も手を抜きたくないという気持ちは痛いほどわかります。そんな私たちが、今まさしく奮闘中のママさんのお手伝いができないか……という思いで取り組んでいます。
渡邉さん:手抜きではなく、「手間抜き」という感覚で気軽に使ってほしいですね。できた余裕は、お子さまとのコミュニケーションやご夫婦の時間、さらに自分のためにゆっくりお風呂に入るとか、リフレッシュの時間に使っていただけたらなと思います。
カタログの「お料理キット」ページ
――リニューアルした理由とその内容は?
中澤さん:発売から20年以上たって、長年購入してくださっている方も多く、購買層が50代中心になっていました。若いお客さまも取り込みたいと考えたのが一番のきっかけです。そこで、どんな需要があるのか探るため、会員さま向けに大規模なアンケートを実施しました。
渡邉さん:その中で、今までの3人前の分量について、高齢のご夫婦世帯からは「少し多い」、逆に育ち盛りのお子さんがおられるご家庭からは「4人家族には足りない」とのお声をいただきました。そこでどんなご家庭でも幅広くカバーできるよう、2人前をご用意しました。2人前を2つ購入していただくことで4人前にも対応していただけます。
うちの商品は野菜たっぷりのボリューム感が売りなのですが、若い方の「もっとガッツリ食べたい」というご意見から、合いびきミンチがたっぷり入った「ドライカレー」などの洋食メニューを充実させました。
中澤さん:「つい、いつもの商品を買ってしまう」というお声をもとに、気軽に購入できるよう初登場のメニューをお試し価格で提供することも始めました。
――メニューは全部で何種類くらいあるんでしょうか?
渡邉さん:約1000種類です。新作を含め、週替わりで25種類以上を掲載しています。レシピを考えつつ撮影もあり、いつもスケジュールに追われています(笑)。
――メニュー開発で心がけていることはありますか?
渡邉さん:なるべくキットの材料だけで完結し、短い工程で作れるように、と考えています。添付のレシピは、誰が作ってもうまくいくようわかりやすさを心がけています。流行りを知るために、スーパーやコンビニのお惣菜コーナーを回ったり、SNSをチェックしたり。ソースやだしスープなどは市販の調味料をそのままキットに使うことが多いため、小袋入りを探し出して味の組み合わせを考えます。
――人気メニューや印象的なメニューがあれば教えてください
中澤さん:新メニューで早くも定番になるくらい人気なのが「丸めないハンバーグ風ライス」や「包まないぎょうざ」「巻かないロールキャベツ」などです。あまり手を加えないのに期待以上の味になる点が受けているのかもしれません。
「丸めないハンバーグ風ライス」調理時間10分
「お料理キット」に添付の作り方レシピ
渡邉さん:冬の人気メニュー「細切り野菜で食べるしゃぶしゃぶ」は、約5年前にテレビ番組の企画から生まれ、今でも継続しています。当時ものすごい反響があり、思い出深いですね。
「細切り野菜で食べるしゃぶしゃぶ」調理時間10分
――ところで、お客さまのもとに届くまでの1日のスケジュールは?
渡邉さん:毎日夜中の3時から、カット野菜や肉・魚の食材、調味料、レシピをセットアップします。ほかの冷蔵商品と一緒に箱詰めするため朝6時までに完了しなければなりません。8時から順次配達を始め、遅くても夕方5時にはお届けしますので、その日の晩ごはんとして召し上がっていただけます。
中澤さん:翌日配送を実現するために、役割分担しながらたくさんの方が関わってくださっています。お届けがないのは1年のうちお正月の三が日だけ。みんなに感謝しかないですね。実は2023年6月に事務所を含む物流拠点を大阪府吹田市から兵庫県伊丹市へ移転しました。最新設備を導入し、社員のモチベーションアップにもつながっています。毎朝、真新しいオフィスに出社するのがとても楽しみです。
兵庫県伊丹市の新物流センター
――今後の抱負や、やってみたいことはありますか?
渡邉さん:これからも、関西ならではの味付けで、関西のお客さまに「おいしい」「また食べたい」と言ってもらえるレシピを考え続けていきたいです。レシピを流用していただき、キットがなくても各ご家庭のレパートリーの一つになればうれしいです。
中澤さん:SNSを使ってファンを増やしていきたいですね。2023年10月に阪急キッチンエール関西のインスタグラム(@hankyu_kitchenyell)をスタートしました。動画で「お料理キット」を調理する様子なども紹介しています。お客さまとのコミュニケーションを広げることで、今後の商品開発につなげていけたらと思っています。